【ネットワーク入門】PIM-SMの代表的な機能スイッチオーバ

2023年2月1日2025年11月8日

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はじめに

こんにちは。ネットワークエンジニアの「だいまる」です。

今回は、前回の記事で紹介した「【ネットワーク入門】マルチキャストの代表的なプロトコル（PIM-SM）について」に続いたマルチキャストの機能をまとめたいと思います。

スイッチオーバー機能で最短経路を！

スイッチオーバ機能とは？

スイッチオーバ機能とは、「RP（ランデブーポイント）を経由せず最短経路を利用する機能」になります。

PIM-SMでは、共有ツリーの根本となるRP（ランデブーポイント）の経由が必須となり、送信者から受信までの経路が最短にならない場合が発生します。

スイッチオーバー機能を設定すると、設定した閾値を超えると適用されるようになります。

Cisco IOSはデフォルトの閾値が「0」なので、常に適用される状態です。

スイッチオーバー機能を無効にしたい場合は、閾値を無限（infinity）にする必要があります。

(config)# ip pim spt-threshold infinity

このConfigのフォーマットは以下の通りとなります。

(config)# ip pim spt-threshold {threshold} [group-list access-list]

No	項目	詳細
1	threshold	閾値を設定するエリア【Cisco IOS 設定可能値】・0：スイッチオーバー機能の有効化・infinity：スイッチオーバー機能の無効化
2	group-list <ACL List>	スイッチオーバ機能を適用するグループアドレスを指定

項目	詳細
threshold	閾値を設定するエリア【Cisco IOS 設定可能値】・0：スイッチオーバー機能の有効化・infinity：スイッチオーバー機能の無効化
group-list <ACL List>	スイッチオーバ機能を適用するグループアドレスを指定

動作確認をしてみよう！

今回の動作確認は、以下構成と検証項目で実施しします。

検証環境

検証項目

No	項目	目的
1	スイッチオーバーの無効化	infinity設定を追加し、スイッチオーバーを無効化する

項目	目的
スイッチオーバーの無効化	infinity設定を追加し、スイッチオーバーを無効化する

項目1：スイッチオーバー無効化

基本的にCisco IOSではデフォルトとして、スイッチオーバーが有効化されているため、無効化した際の状態を確認してみます。

まずは、事前の状態を確認していきましょう。

以下の状態からわかることは、共有ツリー（*,239.1.1.1）に、共有ツリーではなく送信元ツリーを利用することを示す「Jフラグ」が付与されています。

事前確認（Router2）

Router2#show run | in pim
 ip pim sparse-mode
 ip pim sparse-mode
 ip pim sparse-mode
 ip pim sparse-mode
ip pim rp-address 10.0.1.1
Router2#show ip mroute
(*, 239.1.1.1), 5d05h/00:03:13, RP 10.0.1.1, flags: SJCF
  Incoming interface: GigabitEthernet0/1, RPF nbr 10.1.0.1
  Outgoing interface list:
    GigabitEthernet0/2, Forward/Sparse, 00:05:36/00:02:54
    GigabitEthernet0/3, Forward/Sparse, 5d05h/00:03:13
    GigabitEthernet0/4, Forward/Sparse, 5d05h/00:02:04

(192.168.10.2, 239.1.1.1), 00:25:02/00:02:47, flags: FT
  Incoming interface: GigabitEthernet0/4, RPF nbr 0.0.0.0
  Outgoing interface list:
    GigabitEthernet0/1, Forward/Sparse, 00:05:22/00:03:11
    GigabitEthernet0/2, Forward/Sparse, 00:25:02/00:03:08
    GigabitEthernet0/3, Forward/Sparse, 00:25:02/00:03:13

ここに、先程説明した通り、以下Configを全ルータに設定していきます。

(config)# ip pim spt-threshold infinity

設定後の事後状態を確認していきましょう。

スイッチオーバーを無効化したことで、Jフラグが消え、送信元ツリーが参照されない状態になりました。

tracerouteの確認は厳しいので、状態で確認するしかなさそう

事後確認（Router2）

Router2#show run | in pim
 ip pim sparse-mode
 ip pim sparse-mode
 ip pim sparse-mode
 ip pim sparse-mode
ip pim rp-address 10.0.1.1
ip pim spt-threshold infinity
Router2#show ip mroute

(*, 239.1.1.1), 6d01h/00:03:22, RP 10.0.1.1, flags: SCF
  Incoming interface: GigabitEthernet0/1, RPF nbr 10.1.0.1
  Outgoing interface list:
    GigabitEthernet0/2, Forward/Sparse, 20:10:41/00:03:22
    GigabitEthernet0/3, Forward/Sparse, 6d01h/00:03:04
    GigabitEthernet0/4, Forward/Sparse, 6d01h/00:02:59

(192.168.10.2, 239.1.1.1), 00:01:15/00:01:44, flags: FT
  Incoming interface: GigabitEthernet0/4, RPF nbr 0.0.0.0, Registering
  Outgoing interface list:
    GigabitEthernet0/1, Forward/Sparse, 00:01:15/00:03:01
    GigabitEthernet0/3, Forward/Sparse, 00:01:15/00:03:13
    GigabitEthernet0/2, Forward/Sparse, 00:01:15/00:03:22