【ネットワーク応用】EVPN-VXLANとは?(EVPN/VXLAN概要編)

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はじめに

こんにちは。ネットワークエンジニアの「だいまる」です。

今回は、最近勉強したEVPN-VXLANについてまとめていきたいと思います。

EVPN-VXLANとは?

そもそもEVPN-VXLANとは?

EVPN-VXLANとは、「L3ネットワーク上にオーバレイによるL2ネットワークを構築する技術」となります。

具体的には、コントロールプレーンをEVPNデータプレーンをVXLANで構築します。

昨今のデータセンタネットワーク等でよく利用される技術になると思います。

Hulu

何のために利用するの?

EVPN-VXLANの利用目的は、「L3ネットワーク上にL2ネットワークの構築」となります。

昨今のデータセンタネットワークでは、BGPによる経路交換、制御を行うネットワークが増えています。

また、データセンタを扱うISPや事業者は物理的に離れた複数のデータセンタを持つことが多くなっています。

その複数のデータセンタに跨ったネットワークを同じネットワークとして扱うために、EVPN-VXLANが必要となるのです。

正直EVPNである必要はないけど・・・・

イメージ図の挿入

202200925_超RIZIN

VXLANとは?

そもそもVXLANとは?

VXLANとは、上記でも触れましたが「RFC7348で定義されたL3ネットワーク上にL2ネットワークを構築するプロトコル(データプレーン)」です。

VXLANが誕生した背景は、割り当てるVLAN ID数の限界になります。

VLAN IDは12ビット(4096個)になりますが、データセンタネットワーク上で利用すると、あっという間に利用できるIDがなくなってしまいます

そこで24ビットに拡張したVXLANが誕生したのが背景になります。

このVXLANには主に2つの用語が定義されています。

項目詳細
VNI(VXLAN ID)所属するVXLANグループを識別するID
VTEP(VXLAN Tunnel Endpoint)VXLANのエンドポイント
※トンネルのSourceとなるLoopback IF等
VM
VM
VM
VM
VTEP
VTEP
VTEP
VTEP
VXLAN トンネル
VXLAN トンネル
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VXLANの通信では、UDP/IPでカプセル化を行うのですが、そのフォーマットは以下の仕様となっています。

宛先
MACアドレス
宛先 MACアドレス
送信元
MACアドレス
送信元 MACアドレス
802.1Q
802.1Q
宛先
IPアドレス
宛先 IPアドレス
送信元
IPアドレス
送信元 IPアドレス
UDP
ヘッダ
UDP…
VNI
VNI
VXLANによるカプセル化部分(50Byte)
VXLANによるカプセル化部分(50Byte)
14Byte
14Byte
20Byte
20Byte
8
8
8
8
オリジナルのイーサネットフレーム
オリジナルのイーサネットフレーム
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EVPNとは

EVPNとは?

EVPNとは、「Ethernet VPNの略であり、BGPによるL2VPNを実現するプロトコル」になります。

EVPNの利用による利点は主に5点あります。

  • L2VPN/L3VPNの統合が可能(拡張性)
  • All-Activeによるマルチホーミングが可能
  • ECMPによる負荷分散が可能
  • BUNトラフィックの削減
  • 経路収束の高速化

その上で、EVPNで利用できるモードは、「シングルホーム」と「マルチホーム」の2種類があります。

それぞれの違いは、下の図を使って説明します。

シングルホームはPE:CEを1:1で接続する方法であり、マルチホームはPE:CEを複数:1で接続する方法となります。

シングルホーム
シングルホーム
PE
(Provider Edge)
PE…
CE
(Customer Edge)
CE…
1:1
1:1
マルチホーム
マルチホーム
PE
(Provider Edge)
PE…
CE
(Customer Edge)
CE…
多:1
多:1
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また、EVPNで定義・利用される主な用語は全部8つあり、以下に説明の表を載せておきます

EVPNは出てくる用語が多いのでしっかり覚えましょう!

項目詳細
ES(Ethernet Segment)PEとCEのリンク集合
ESI(ES Identifier)ESの識別子
EVI(EVPN Instance)EVPNのインスタンス
※VNIと同義であり、PEルータ上のVPNやVRFごとに与えられる(RT)
EAD/ESEthernet Auto Discovery per ES
->高速収束のために利用される
EAD/EVIEthernet Auto Discovery per EVI
->Aliasingや負荷分散(LB)で利用
AliasingESに複数のEVI等が存在する場合に、負荷分散を行う機能
masswith draw経路収束の高速化のために利用される機能
DF electionループ防止で利用される機能

また、上記の用語以外に経路交換に用いられる3種類の用語があります。

項目詳細
VPNメンバーシップ– PEがリモートPEを全台見つけるために利用
– BUMラベルとユニキャストラベルはMACアドレス学習時に取得
ES ReachabilityESの到達性
– リモートPEの自動検知(多分これがメイン)
– All-Active / Single-Activeモードの検知
– 障害発生時にリモートPEから送付されるメッセージにより、経路の削除を行う
Redundancy Group MembershipDF(Designated Forwarder)を選定するためのグループ

各用語の紹介が終わったら、次にメッセージタイプの説明となります。

EVPNでやり取りされるメッセージは、5種類存在します。

その5種類のメッセージをテーブルを使って説明したいと思います。

メッセージタイプ用途
Type1(Ethernet-AD Route)– ESの経路とESに属するEVIリストの広報
Type2(MAC/IP Advertisement Route)– MACアドレスやIPアドレスの広報(到達性も含む)
– MAC/IPの紐付け
Type3(Multicast E-Tag Route)– マルチキャストトンネルのエンドポイント検知
Type4(Ethernet Segment Route)– DF選択と冗長グループの選定
Type5(IP Prefix Route)– IP Prefixの広報

ここまでEVPNの概要についてまとめたので、最後に各用語に関するイメージをまとめていきたいと思います。

EVPNの詳細は、他の記事でまとめたいと思います。

BUMトラフィック
BUMトラフィック
BUMラベル判定
DROP
BUMラベル判定…
PE3(DF)
PE3(DF)
CE1
CE1
PE1
PE1
PE2
PE2
PE4
PE4
CE2
CE2
Non-DFのため
DROP
Non-DFのため…
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最後に

今回は、EVPN-VXLANの概要についてまとめました。

次回は、NX-OSで実装したEVPN-VXLANの動作確認に関する記事を作成していきます。

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